このレビューはネタバレを含みます▼
おめでたいはずの結婚式で、新郎望を見つめる元恋人伊織の表情と2人の蜜月の回想シーンで始まる本作。ある意味、BLの定番でもある、切な哀しい物語なんだろうか…、と思いながら読み始めました。その回想シーンが、ノンケだった伊織にとって秘密の、でも本気の恋だったことが伝わり、かつ予想以上にムッチリボディがエッロ!(ただし、白ナマコのような白抜き修正に泣)
しかし、時間は無慈悲に進み、終わりを迎えた2人が直接再会するのが攻めの結婚式で受けがスピーチする前のトイレ。…以下ネタバレ厳禁なんですが、終始、受けの伊織目線で読みながら、そらあスピーチ、泣くぞな?切なっ!な展開なんです。
表題作は、この結婚式までの物語。
おそらく、最初はこの1話短編で完結だったところに続編となる「夢で会えたら」が連載されて6話完結。
続編では、高校教師の伊織が、結婚式で望に再会して以降、夢だけでなく、不意に共に望と過ごした日々を回想してしまい、胸をかきむしられながらも、望を忘れられない日常が描かれていて。
BLのあるある設定であれば、かつての男が結婚したことで、新たな恋が始まるところ。が、望を忘れようとしながら、思いが募ってしまう伊織が切ない…。望も、スポーツマンでモテるくせにちょっとヘタレで、にくめない奴なのが何とも悩ましい。
伊織が、いかにも真面目そうなのに、ムッツリスケベで脳内で思い起こされる望とのアレコレのエロさと、5年間貞操守ってたっていうのがね…エロくて切なくて、時々笑えて。
その先は、まさに予想外の展開と言っていいでしょう。
未読の方にも、ネタバレにならない程度に。レビューでその後の展開について評価が別れているのは、おそらく表題作が短編で作られ、その後に続編が描かれるに当たり再構成した人間関係に対する受け止めの違いがあらわれているのかなと。
自分は、表題作で泣き顔で終わった伊織に、作者からの愛として中表紙の結婚式場で手を取り合う姿=表題作にも、続編にも出てこないシーン=を描いてあげたかったのかな、と作者の不憫受けへの愛を感じ取り、そこに萌え転がりました〜!
涙腺を刺激する結婚式再会物語と、その先の一味違う展開が見てみたいなら、の1冊*総188頁