さよなら共犯者【単行本版】
」のレビュー

さよなら共犯者【単行本版】

あがた愛

映画を見た後のような余韻に浸れる作品

ネタバレ
2023年10月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 上巻は1〜4話で245ページ、下巻は5・6話+番外編と描き下ろしで248ページ。短編集(その後の二人)はTwitterに公開されたショートストーリー2話含めて合計35ページ。有名自動車メーカーの箱入り息子で高校2年のはじめが、猫を探して入った取り壊し予定の古いアパート。そこにいたのは愛猫と謎に包まれたサラリーマン風の男・ヒロセで、何故かヒロセには自分をさらけ出すことができて…。変わらない日常と突然始まる非日常な出来事の対比が凄い大きくてとてもドラマチックな本作品。取り壊される古いアパートに潜むスーツ姿の男って、字面だけ見るとちょっと犯罪の匂いがして怖いんですが、ヒロセの柔和な雰囲気がそんな怖い雰囲気を和らげるし、どうして隠れているんだろう?何から逃げているんだろう?と興味をそそられるというか、映画さながらに「引き」が強いなぁと感じました。出会って数日で恋に落ちてしまうのは、確かに他の作品なら早すぎてもう少し積み重ねが欲しいと感じると思うんですが、この作品ではそこまで気にならなかったかも。多分逃避行という非現実なシチュエーションだからというのもあるんだろうなと思います。ハピエンなんですが、どことなく仄暗い感じがするのもあがた先生の作品!という感じで、とても読み応えがある作品でした。
いいねしたユーザ17人
レビューをシェアしよう!