重く深い一冊…ひとり静かに読んで欲しい





物語は静謐な美しさのある奏純平と、彼に執着する上司の凍月颯の二人を中心に進んでいきます。
絵は細い線とベタが多いので暗く重い感じですが、それが舞台となっている昭和50年代のさびれた地方都市感や、凍月と純平のすさんだ心や切ない思い、やるせなさをうまく表しています。
ストーリーが現在と過去を行ったり来たりする形で進んでいき、回想が入ったりするので納得してた事を改めて考えさせられたりします。とても疲れます。でも読むのを止められない…休憩すら出来ません。
物語の途中で「白い冥路をゆくライオンみたいな、あの愚かな旅人の無事を願ってやまない」という文章が出てきますが、これが物語の全てを語っているような気がします。そして私もそう願ってやみません。ギラギラしていた凍月の表情が終盤穏やかに変化していきます。
そしてラスト、「ああこんな結末なんて予想していなかった…ああホントにそんな…」と思わせる形で終わります。
「愛してる」と言えなかった奏と「愛してる」が伝わらない凍月…
心の全てが持っていかれてしまうので現実に戻るのに時間がかかりました。何度も読み返したい1冊です。

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kamit さん
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