叛獄の王子
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叛獄の王子

C・S・パキャット/冬斗亜紀/倉花千夏

先が見えない塩漬けストーリー

ネタバレ
2024年1月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 海外の小説は今まで避けてきました。カタカナのオンパレードで名前が覚えられないから。私の地雷のリバが多いと聞いていたから。が、この小説はどうしても気になり、ついにポチってしまいました。1巻目・・え?これってBLだよね?怒涛の展開に追われて、全くBL要素なし。ローレント、本気でデイメンを殺しにかかってるし、どうなってるの?BLのLの部分が皆無なんだけど?ちょっとデイメンに身体に触られたくらいで、背中の皮が剥がれるまでデイメンを鞭打ちするローレントのイカれっぷりにドン引きする。慌ててネタバレ以外のレビューを読む。MM小説との記述を見つける。・・BLと違うの?MM?マゾとマゾか?いや、どうみてもサドとサドだった、あの2人。MM小説の意味を理解しないままさらに怒涛の2巻へ。デイメンの直情っぷりと人間としての器の大きさの魅力が遺憾無く発揮されている巻。が、塩分に浸されていた心が糖分を欲し、途中、2冊ほど別の大甘の小説を読んでなんとか立て直して戻る。うおー、2人のまさかのベッドシーン!しかし背中の皮剥げ鞭打ちが背景にあるローレント相手なので、全く浸れず。案の定、すぐに謀略の渦中へ。3巻目・・ストーリーはおもしろいがやはり心が糖分を求めてしまい、禁断の外伝を先に読むという禁を犯す。外伝を15ページほど読み、信じられないものを見てしまった感いっぱいで、慌てて中断する。何これ何コレナニコレー!?この暗黒の世界からどうやって外伝のラブい世界に繋がるの!?パラレルワールド?本当にこんなに甘くなっちゃうの?ローレント、別人なんですけど。力を得て、3巻に戻る。・・地獄絵図が展開されている。が、どうしても好きになれなかった冷血ローレントの真実と誠実と正義が明らかにされていき、2人の関係が揺るぎない強固なものになり、物語が一気に走り出す。伏線に次ぐ伏線の回収。ぼんやり読んでいると、伏線が回収されていることにも気付かないくらい緻密に物語が練られている。1巻の伏線が3巻のラストで回収されていたりするので、これは一気読みすべき本だったのだとようやく気づく。とにかくすごい。抑制されたストイックな文章が世界観と合っていて素晴らしい。そして1番純情だったのは、まさかの毒婦ジョカステだったというこの驚愕の真実。
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