こたえてマイ・ドリフター
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こたえてマイ・ドリフター

大島かもめ

この時代を選んで描いた良い所と残念な所

ネタバレ
2024年1月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ アメリカが舞台のお話ですが、難しい時代を選んだなぁというのが初めの感想でした。
あまり歴史を知らない私でも、大戦景気から禁酒法・世界大恐慌と世の中が目まぐるしく変わる、ある意味ドラマチックな時代だと思います。
移民やイタリアマフィアが大活躍(?)な当時のアメリカの雰囲気が伝わってきて、その空気の中で恋をする男男がホント絵になる!カッコイイ!のです。
歴史に沿うように2人の運命は二転三転としていきます。
恋の来し方を描くのに、歴史をまんま利用した成功例ではないでしょうか。
ただ惜しむらくは、一巻にまとめる為なのか歴史的表現もストーリーも浅い…と感じてしまいました。この時代を描いた世界的に有名な小説や映画たちが、本当にあまりにも有名な大作だからかも知れません。それが初っ端に「難しい時代」と感じた一因かもです。

物語りの閉じ方は好きです。
織り混ざった希望と不安の中で深い愛を感じることができました。
ニューディール政策のおかげで2人にもきっと優しい時代がくることを知っているのでちょっと安心です。

美しい男たちの人生の浮き沈み。そして特別修正での愛の交歓。物語後の妄想も捗る描き方。面白かったです。
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