ファミレス行こ。
」のレビュー

ファミレス行こ。

和山やま

助手席に座った人間は俺から離れられへん

ネタバレ
2024年1月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ きっと下巻を読んだら、今とはまた全く違う感情で叫びながらレビューを書くことになりそうで(それがどんな感情なのか想像もつかないのだけれど)下巻読了までレビューは我慢しようと考えていたのに、どうにもムズムズしちゃってやっぱり書いてしまいました!

大学生になって狂児と再び会うようになった聡実くん。あれっ?なんだかずいぶん荒んでしまったような?ぞんざいなタメ口と丁寧語が入り混じっています。都会の、蒲田の絵の具に染まってしまったの?2度3度読むうちに思ったのは…これは聡実くんの複雑な感情からのツンケンなのかもしれん…。
あのカラオケ大会を最後に3年間も音沙汰なしで、卒業文集でやっと狂児との出来事にピリオドを打ったのに。ヨレヨレの名刺1枚をそっと懐に忍ばせ東京へ旅立つつもりだったのに。それなのに、自分が知らなかっただけで狂児の腕にはくっきりと自分の存在が刻まれていたのです。あの日からずっと。

その重責(?)から逃れるために生活のほとんどを狂児に捧げるような時間の使い方をして、かえって狂児の事を考え続ける日々を送る聡実くん。
そんなんで、さよならなんか、できるのか?聡実くん!!!衝撃の上巻ラスト!(大学生になってだいぶ背が伸びたはずの聡実くんと、まだこんなに身長差あったんか…尊死)

奇妙な人々が奇妙な行動をとることで、結果、街の七不思議のような事象を引き起こしていく面白さは、「夢中さ、きみに。」や「女の園の星」でファンはご存知のことと思います。本作では、北条先生のファンレターは、スナックざくろの女性は、バンドムロマチは、500円貯金は、いったいどのように紡ぎ合わされていくのか。はたしてマコトくんは机(または高級座椅子)を買ってもらえるのか?下巻が待ち遠し過ぎて苦しいです。
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