ゴミ屋敷の鎌倉さん【単行本版】
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ゴミ屋敷の鎌倉さん【単行本版】

あるくジョー

汚かった部屋とスッキリ見える夜空

ネタバレ
2024年1月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ お人好しな荒井くん×同じアパートの住人・鎌倉さんのお話で、表題作のみ全6話+特典おまけページ(1枚絵が数点)で合計195ページ。ある日帰宅途中の荒井くんが、上の階の住人の部屋の窓ガラスが割れていることを発見。様子を見に向かうとそこにいたのはゴミに囲まれて暮らす鎌倉さんで…というお話。なんだろう、なんか創作作品なんですが異様にリアルというか、鎌倉さんがゴミ屋敷の住人と化してしまった経緯も誰にでも起こり得ることというか。階段を降りるのも力が入らなかったり、シャワーを浴びるだけで疲れてしまったり。何か変だなと思った時にはもう後戻りできないところまで来てるんですよね。あくまで漫画であり、ドキュメンタリーでもないんですが、二次元の世界にリアルな要素がすごい絶妙な感じで混在していて、読んでいてとても引き込まれました。荒井くんの方もずっと心の奥で燻っている過去があって、鎌倉さんを助けることで自分を正当化したかったわけで、汚かった部屋が少しずつ綺麗になっていくのが二人の心の描写ともすごい上手くリンクしていました。最後部屋が完全に綺麗になった後に二人で見上げた夜空がスッキリしていて、同じように私もスッキリした気持ちで読了できました。
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