巣箱の王子様
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巣箱の王子様

秋平しろ

なんかね泣けてくる

ネタバレ
2024年4月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 雑誌でちょい読みしていて、コミックスになったから購入。上下巻だったのですね。

秋平先生のお話は、ふわふわしているようで、根幹にきっちり大きな問題があって、心の機微に触れるんだよなぁ。

ゲイというだけで恋人関係を諦め、お金で抱いてくれる人だけの付き合いしかできなかった青柳。密かに、広報部にスカウトされたスーパーエリートの浅桐にときめき、王子と称して会社で会うのを楽しみにしていた。

ゲイバレした後、浅桐は人に言えない隠していることはみんなあると、事例として自分の家を見せると、そこは高級マンションのゴミ屋敷だった。
ハムスターの巣作りのような「巣箱」に住む、綺麗で優しいスーパーエリート王子様。

何かあるのだろうと思いながらも、片付けを買って出た青柳。毎週、王子の家に行くのが楽しみで。でも、自分の恋が叶うことはないと諦めながら、王子が健やかに暮らせる部屋にするために頑張る。

男性の無精子症は100人に1人と言われている。気づかないだけで、相当数いることになるけど、誰も自分を疑っていない。

顔だけの自分で無価値感をより一層抱えた王子。ゴミに埋もれ自身を慰める。
そこに現れた青柳は、全てを受け入れてくれる、聖母系受け。

男性は初めてだったけど、自分を受け入れてくれる人に性別は関係なく。
青柳も、異性間恋愛であれば望めることも多く感じ、ゲイであることで明るく言い聞かせながら、人生を諦めていた。

補い合える2人。青柳は、王子と恋愛できる喜び、自分が幸せにしたいと思える喜びを噛み締め幸せを知る。王子は、見掛け倒しな自分と感じていたが、それを全て受け入れてくれる青柳に出会えたことで、愛しさや離れがたさを知り、彼がいなくなったら自分は終わるとまで考える。

出会えて、良かったね。染み染み、幸せのおすそ分けをいただきました。
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