2世と器
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2世と器

戸ヶ谷新

愛でしかない

ネタバレ
2024年4月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 宗教にのめり込んでいる親に悩む春一と、その宗教団体の燈主・永真の物語。

あらすじを見て自分にはかなりきつそうな内容だなと、覚悟して読んだのですが…意外と、予想していたより読みやすかったです。
物語が辛くなりすぎないように、作者様がすごくバランスに配慮して作られているのを感じました。

物語の細かいところが粗いのが少し気になったけど、それよりもこの内容、このテーマでよく1巻でまとめたな…という印象のほうが強かった。
今回のテーマ、BLで描くのはかなり難しいテーマだと思う。

雑誌で追っていた人も、ラストのエピローグは是非読んでほしいな。
このエピローグで物語が完結します。

辛いシーンもあるけれど、読後感はとてもよかったです。
読み終わったあと、「そっか、愛か…」と。
この物語についてしばらく考え込んでいたら、じわっと涙が出た。

二人は恋人ではないかもしれない。
ならばこれはBLではないかもしれない。
だけど物語が鋭く読者に問いかける。
愛とは?

――この作者様の、BLというジャンルそのものを問う作風、大好きです
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