このレビューはネタバレを含みます▼
爽やかで可愛らしい表紙のイメージに反して、受けの銀次のこれまでの人生はなかなかハードモード。具体的に描かれる闘病の日々に涙しました。喘息という病気は知識として知っていますが、症状の重い人はこんなに苦労しているんですね…。
持病で色々なことを諦めてきた青春時代、死を身近に感じる恐怖、ゲイ、といった側面を強気な言動で隠している銀ちゃん。そんな銀ちゃんの日常に、底抜けの明るさと無邪気さでグイグイ入り込んでいくワンコ攻め千秋。ちょっとお子ちゃま過ぎかな?と思うけど、銀次をとっ捕まえるにはこれくらいの強烈キャラが良いのかもね。
舞台となる江戸川区平井や周辺の下町の風物詩、大切なエピソードとして阿蘇の風景など、実在の場所もたくさん登場して読み応えがあります。
エチシーンは、ノンケの千秋の伸び代が凄くてゲイの銀ちゃんがヘロヘロにされてんのが良い。成長するワンコ。
銀ちゃんは虚弱体質な反面、ゲイライフは意外にも奔放なので地雷の方はご注意。
「空は蒼」という後日談番外編も電子化されていますが、残念ながらシーモアでは配信されていません。
「空の蒼」は野原先生のデビュー作だそうで、その描写力と完成度の高さにびっくり。野原先生の現代ものでは「愛されたがりの嘘つき」もお勧めです。