蛍火艶夜 単話版
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蛍火艶夜 単話版

amase

唯一無二の光を放つ作品

ネタバレ
2024年5月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 本当にこのひとたちが存在してたのではないか、と感じてしまうくらいに真に迫った描かれ方が凄まじい。
最近出た十話が好きで繰り返し何度も読んでいます。相手を好きかどうかよくわからないうちに致していたように見えた今までの登場人物たち。だけど今回、まっすぐに目をみて好きだって言っちゃう人が現れました。ヒソーチョがとても可愛いらしい。死が近くにあることが伝わってくる過酷な状況の中、彼らがどうなっていくのかとても気になります。
追記,11話読了。
ソノの「増やさんと」というのは、失った命を取り戻したいという気持ちからくる本能的欲求なのかな。そしてそれはヒソーチョに対して向けたいものなのかも?ヒソーチョの方は、ソノとの体の接触に縋る気持ちが徐々に出てきている感じなのだろうか。
12話読了。一人で雨を見上げるヒソーチョの姿とその瞳が哀しくも美しい。状況ゆえの容赦のない想いのぶつけかたをしたソノ。ヒソーチョはみんなを死なせたくないと感じているはず。それをソノは感じ取っている。ヒソーチョの座椅子となっている時の嬉しそうなソノの姿を見ると、2人の仲がより特別なものに変わっていく様をみたいと思ってしまう。
13話読了。12話の最後で、ソノを見上げたヒソーチョは、一緒に逃げちまおうか?とでも、言おうとしたのかな。きっとハッキリ言われなくても真剣に愛されていることは感じていたはず。だけど、ソノのことを思ってか、又、異常な状況での性的欲求を女性の代わりとして受け止めたという意識がヒソーチョにあったからか、愛を受け入れなかった。現実的な受け応えをしたことで、地獄の中での楽園が終わったように思えたし、ヒソーチョは温もりを失ったかのようにみえた。彼は孤独に震えて自分自身とソノの気持ちを理解していったのだろうか。最後に無かったことになどできず、ヒソーチョが愛を受け入れて心を曝け出す姿をみて胸が震えた。いろいろ考えてしまうすごい作品。人の死も愛にも全て意味があり、ほんとうは祈り思うことで繋がっていけるのかもしれない。ラストキス素晴らしかった。ヒソーチョが与えてソノが受け取っているかのようで、すごく素敵だった。ただ、やはり文一郎のこころの状態がとても心配ではあるのだが。
彼らの大切な仲間や愛する人との辛い別れを描いたこの自分にとって特別な物語を心に刻んで生きたい。
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