カッコウの夢
」のレビュー

カッコウの夢

ためこう

ネタバレ厳禁でぜひ!!※微ネタバレ

ネタバレ
2024年5月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ ※微ネタバレしてます!



果たしてカッコウは誰だったのか?という話で、白島のポジションを押しやろうとする瀬野がカッコウにも見えますが、過去の話を読んだり名塚の生い立ちを見るとそう単純な話ではないとわかります。
個人的にはみんながそれぞれ自分の本心を押し殺すために別の自分を生み出して(托卵させて)本心を追い出そうとしてるんじゃないかと思いました。
名塚は白島を好きという気持ちや自身が養子である引け目などを隠すために親友の仮面を被り周囲とも一線を引いていたし、白島は兄の婚約者への思いを他人を巻き込む当てつけのような形ではありますがその想いを喪わせようと試みたし、瀬野はわかりやすく全く新しい自分に成り代わろうとした。
特に瀬野は誰にも意識されない空気のような地味さがあったわけで、新たな自分を生み出して地味な自分を巣から押し出したとも読めました。名塚も白島に接するための自分を作り出して本来の自分を押しやろうとしていた。けれど三人とも好きな人に“本来の自分”を愛してほしいという思いが心の底にはあったわけで。
それぞれの思考や思惑が交錯していて、誰もがカッコウであり、好きな人からの愛を求めていたという複雑な構造だと思います。
ごちゃごちゃと話しましたが、それでもまだ考えが整理されません!名塚と瀬野はそれぞれ本来の自分を愛することができたからこのエンドなんだと思います。最後まで名塚は自分から白島に自身の気持ちを告白できなかったというのも印象的なので。
レビューでもさまざまな感想が見受けられているのでわかりますが、それだけいろいろ話したくなる作品だということ!読むたびに見方も変わりそうな深い作品だと思います。ネタバレ厳禁でぜひ!
いいねしたユーザ5人
レビューをシェアしよう!