バカで弱くて無様でも
」のレビュー

バカで弱くて無様でも

千代崎

バカで弱くて無様なままでいいんだよ、と

ネタバレ
2024年6月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ * 衝撃のラストに始まってしまった脳内会議の形式で、本作を読んだ感想を振り返ります。ネタバレなし推奨作品なので、未読の方はご注意ください。

「いやいや~、千代崎先生の新作、下巻のラストにびびびっくりしたあまり『こりゃ賛否両論別れるな?』と思って脳内で「賛成派」「反対派」の両方の立場から考察しなくては、と気付いたら脳内会議が始まっていたのだけれど…/(うなづきながら)でもね、もう「菊丸」君の名前だけで(わ~、この名前、ウケちゃんだ~!)と大ウケしていた身としては、結論としては「賛成派」となりましたね(笑)」
「確かに、モデルがホスト勤めの現実味のなさや、攻めが女性と致す、今まで見たことがないラストの衝撃とか、違和感を感じるのも分かる/が、ラストを読んで、ああ、これは自己否定を続けた男が、その末に産まれた現実をなんとかしようともがいて、あがいて世間の描く幸せの形に近づけた虚像を作り上げようとしたけれど、自己否定してきた自分と対になるような、でも明るい世界にいる受の存在と、自己否定の末生まれた存在に、本当の自分の幸せとは何なのか、を思い知らされるというパラドキシカルな構成の話なんだ、と思ったらさ…そのへんの違和感とか全部ふっとんで、その作者のメッセージが、ずどーんと胸にぶっ刺さった感じがしたんだな~」
「ラストを唐突に感じた読者もいたみたいだけど、途中途中で登場人物のセリフや小道具で伏線が張ってあって、千代崎先生は、最初からあのラストを決めて慎重に筆を進めているよね/それが、ミステリアスな雰囲気を高めているのも良かった」
「そして、読後にタイトルの『バカで弱くて無様』なのが誰かの印象が、が上巻と下巻とでぐるっとひっくり返るタイトル回収が凄いのと、それを表す表紙絵のハマり具合もイイよね/バカで弱くて無様なままでいいんだ、と攻の価値観を反転させて突き刺す構成がお見事」
「なので、一巡目では、男前で、誠実、知的でミステリアス、なのになぜホスト?と思っていた攻が、二巡目では、菊丸に吐くセリフが自己否定してきた過去の自分に向けているようで、それを光属性の受が跳ね返して、攻が否定しまくってきたありのままの素直な自分でいいんだ、と身をもって教えているように見えて「はっ、育てているようで育てられているやつっ!?」と思って/萌え苦しんだよね…」
「いや、もう最高でした!/👍✨ッス!」
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