蝉法師 訳アリ坊主三人衆、嫁探しの珍道中
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蝉法師 訳アリ坊主三人衆、嫁探しの珍道中

墨佳遼

傑作。夏が来る前に読んで欲しい。

ネタバレ
2024年6月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 墨佳遼作品、待っておりました。
独創的な擬人を描かせたら右に出る人はそうそういらっしゃらないのではない?
力強く切ない生き物たちは確かな画力の元で生き生きとしていました。

本作品は蝉のお坊様です。
たかが蝉されど蝉でございます。

刹那に燃える命のお話のみにあらず、曼荼羅に描かれるような大宇宙の真理さえ描いて下さっているような内容でございました。
堅苦しくなく芯の部分をキャラクターにのせて読者の目と心にとどけてくれました。
《生きる》文字だとあまりにも軽々しくなってしまう。
何をどう表現しようとその答えは永遠の謎であり正解で不正解。
されど命が尊いことはゆるぎない。

やっぱり先生は天才だ。
読み終えたとき、読者それぞれの心に残るものを大切に育てて繋げていきたいものです。

蝉が苦手な私ですがそのフォルムの素晴らしい事!!袈裟の美しさ!なんと愛おしい蝉たちよ(兜も蝶も)。

今年の夏聞こえてくる念仏が待ち遠しいです。

**231ページ**
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