ブラック社員の転生先はDom/Subユニバースの世界でした《コミック版》
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ブラック社員の転生先はDom/Subユニバースの世界でした《コミック版》

篁ふみ/栗城偲

シーモアさんに激推しされて読んでみました

ネタバレ
2024年7月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 日頃「社畜」というワードで作品検索してきたせいか、「あなたにおススメ」作品をポチってみたらこの作品がトップヒット。

レビューでブラックな労働環境を嘆いているせいなんじゃろうか?
と、いまいちシーモアさんが自分にこの作品を激推しした理由が分からないながらも、運命を感じて読んでみたら、BLのLを除いた「ブラック企業勤めのリーマンが、Dom/Subユニバース界にあるパラレルワールドに転生したらどうなるか?」を描きつつ、Dom/Subユニバースって、リアル社会の過剰な男性性から解放される世界なんだと、そして、単なる運命ではなく「信頼しあえる関係」を築く心地よさ、を描いた世界なんだと気付かされたのです。

転生するのは、28歳の品質保証部在籍のリーマン幹人。品質不正問題に気付いても、上司にもみ消される日々に心身ともに消耗し、元営業部同期の瀬上に出世競争で敗れる中、激しい頭痛がして、目が覚めたら周りの様子が違っていて「どむさぶ?」状態だった幹人の面倒を見る瀬上の姿にとまどいつつも、瀬上からDom/Subユニバース界について教えてもらうわけなのだけど、こっちの世界で生きてきた幹人の視点で実際にDom/Sub界にいたとしたらどうなるかを体験する感覚が興味深いのです。

保険証に第二の性が書いてあって、でもそれは安易に人に教えてはならなくて。転生して戸惑っている幹人に対して、瀬上はDomだけれど、世話焼き・奉仕型で誠実。リアル社会では瀬上を羨んでいた幹人が、瀬上の本当の姿を知って素直な自身を開放し、Sub性と判明しても、瀬上の配慮でビジネス上のパートナー関係を結ぶことになり、そこまで悲壮感なく仕事を続けている姿がDom/Subユニバース初心者にも世界観が分かりやすい。しかもパラレルワールドの方が企業もホワイトでみんな生きやすそう…。

と読んでいて思ったのが、これは我々のリアル社会の生きづらさが、過剰な男性的価値観に由来することを、幹人の体験を通じて教えてくれているのだなと。
その価値観から解放されて、第二の性の存在を尊重し、かつ信頼関係を主軸にする関係性だからこそ、Dom/Subユニバースにはオメガバとは違う温かさ、心地よさが存在するのだなと思ったのです。

転生して頼りなげな幹人に庇護欲をそそられた瀬上と、過剰な男性性の鎖を解かざるを得ないことで本当の自分に出会えた幹人の、リアル社会とは違う関係性が萌ポイントでムフフでした!🈵
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