ひととせ、ふくくものごとし【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】
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ひととせ、ふくくものごとし【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】

ソライモネ

本棚にあるだけで癒される

ネタバレ
2024年8月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ ソライモネ先生の作品は紙で揃えたい派なのですが(見開きを楽しみたいのと、ピント調節が辛いお年頃)、今回は手軽に読み返せる電子書籍で。スマホの本棚を開くたび、目に届く表紙が心に優しい。丁寧で温かい絵で描かれた田舎の生活を見ていると、不思議と昔の記憶が呼び覚まされます。陽の眩しさと夜の暗さ。土と草花。懐かしいような心細いような、それらの匂いまで感じながら読み進めました。季節の表現と登場人物の表情がとても豊かです。過去に何があっての今なのか。1巻の時点では断片的でまだ何も分からないものの、ようやく近づき始めた二人の、静かに守り合うような終わり方が素敵でした。過去の傷はかなり辛そうな気配ですが、自然の中で癒しつつ、ひととせ春夏秋冬、楓くんが数えた雲の如く湧き出る幸福をこれから味わえるのでしょうか。とても楽しみです。
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