このレビューはネタバレを含みます▼
不憫受けが好きなので、タグで「不幸な生い立ち」で作品を探したらヒットした本作。横溝正史の世界のようなおどろおどろしくイン靡な設定、未知の作家だけどこれはイケる気配がする…と読み始めたら、ちょっと待って、この方めちゃくちゃ文章が上手いですよ?これ1作しか作品がないのでてっきりなろう系作家かなと決め付けていましたが、完全にプロの筆致です。検索したら、某作家の別名義ではとか、2009年に雑誌掲載されてから本になるまで7年ずっと待ってたとかの記述がありまして、なんとびっくり、偶然にも隠れた良作を引き当てたようです。シーモアのタグ初めて仕事した(笑)
内容は、山郷奥深くで人権無視の因習が受け継がれており、胸糞悪い父親、父親を憎んでいるがこれまた傲慢な息子、不幸な美人姉弟、敵だったり味方だったりするお屋敷の人々、と昭和的なキャラが続々出てきて、好きな人にはたまらない世界です。ストーリーはあるような無いような感じですが、とにかく不幸な受けがいったいどうなるか見守るのが醍醐味です。
攻めは最初にちゃんと現状をリサーチしろよと思わなくもないんですが、誤解からあと感情が変化していく様が人間臭くて良いですね。
エチシーンはねっとりじっくり、乱暴なのから危険なのから丁寧なのまでたくさんあって大サービスです。
これは私の大好きな某作家さまの筆なのでは…と思いながら読みましたがほぼ違和感なかったです。真実のところはどうなんでしょ。
通常だいたい☆4ですが、謎作家さまとの出会いに感謝で☆5です。