君と宇宙を歩くために
」のレビュー

君と宇宙を歩くために

泥ノ田犬彦

大好きな作品

2024年10月24日
3巻が出ていたので読みました。この作品との出会いは、昔某SNSで見かけた試し読みで号泣したことが始まりだったのですが、毎巻心に沁み渡るエピソードを届けてくれます。キャラクターがとても良いんですよね。重たい場面もあるんですが、絵のタッチのおかげか、どの人もなんとなく可愛く見える。その中でもメイン2人が人生を一生懸命生きているのを見て共感しつつ応援したくなります。舞台が平成というのもあり、何かしらの障害は抱えているのだろうけど明確にはされておらず、今ほどそういった障害の名前も広く認知されていなかったからこその良い塩梅という感じがします。名前が付くことで安心できることもあると思いますが、それが明確にされることでなんとなくその人には仕方のないこととして、一線引かれてしまうことにもなるのかなと思います。彼らはそれを苦手なこと、不得意なこととして認識し、様々な「工夫」をもって乗り越えようとしている。その姿にとても励まされます。小林くんの友達がなかなか良い性格してるんですが(褒めてない)、きっと器用な子なんですよね。その辺が対比的に描かれてるのも面白いです。部活の先生以外には2人の一見不思議な関係を理解されるのはまだ時間がかかるようで、非常に気になるところで3巻は終わってしまいますが続きが楽しみです。人の複雑さ、尊さ、繊細さ、魅力を丁寧に描きながら、押し付けがましさもなく、坦々と続く人々の日常を切り取ったような、どこか懐かしさを感じる良作です。まず1話だけでも!ぜひ沢山の人に読んでほしいです。
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