能美先輩の弁明
」のレビュー

能美先輩の弁明

大麦こあら

言語化できないけど大好き

ネタバレ
2024年11月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ どこがどう好きか上手く表現できない自分の語彙を悔やみます。印象的だったのは、能美先輩のモットー「善く生きる」ですが、瑛人が他の人とお似合いだと思ったときに「善くなさそうな」感情になるのに、結局(誤解ですが)失恋したけど「好きになれてよかった」と言い切るところ。フラフラしていた遊び人が、悲しい思いをしたあとでも自らの恋を「善い」ものだと認識したことにぐっときました。瑛人も瑛人で、能美を尊敬できない最低な人とわかっているのに好きになる。その理由は作中の哲学者の言葉から読み取ることができるし、哲学という学問を通して先輩の内面に触れたともいえるけど、細かいところはわかりません。能美の祖母いわく、わからないこともよいこと。それがとても素敵だなと思いました。何もかも正反対な二人が哲学という数少ない共通点を通して向き合っているのは、魂の片割れという表現に相応しいと感じられます。最後の描きおろしで好きと伝えあう二人、瑛人の束縛強い様子が見られたのが良かったです。最後の恋人の定義付けを読んだ後は、つい最初から読み返したくなる。ゆるーい雰囲気で進んでいくのに心に刺さって、中毒性のある作品でした。
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