午後の光線
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午後の光線

南寝

地雷も含めて読んで欲しいかも

ネタバレ
2024年11月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ こちら是非とも内容を検索せずにお読みいただけると良い。
衝撃的な内容もあります。
地雷が沢山埋まっているとも言えます。
しかし、この少年たちの柔らかな心を何が占めて何を求めて、そして触れ合って生きたのか。
是非読んでいただきたい。
********以下ネタバレすると思います。
作品全体を占めているのは生と死です。
人の死を一番近いところで体験したがために柔らかな心に大きなトラウマを抱えた村瀬と、生きる糧である家族の愛情も物理的な愛情も枯渇している淀井のお話。
そこに傷や死に追い込んでいく精神の危うさ脆さへの美化憧れがあります。
村瀬の体験した”死”から自らを守るためには逆の生への欲求、美しく崇めるように求めることが必要だったのではないだろうか。一方排他的、刹那的ともいえるような関係が淀井の中には多く潜んでいたように思える。
ふたりは触れ合い近づき温もりを感じ合い、きっと生を感じることが出来たんじゃないかと思います。
そして、お互いの寂しさやむなしさをカタンカタンと心臓のように規則的に流れる音の中の穏やかなシーンはなおのこと小さく頼りなげに見えて美しかった。
そんな二人が死への想い、生への想いを温かなオレンジの日差しのなか「こわい」と思いながらも嬉しくていびつででこぼこな二人だけの温もりに包まれたのは一瞬の煌めき…そしてエンディング。
なんて美しい村瀬の言葉だろう。
一文一文にふたりの生きていた温もりが伝わってきました。
出来ればあまり読みたくないエンドですが、最後まで人の儚さ
を味わえました。
**281ページ**
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