つばめのともだち
」のレビュー

つばめのともだち

日野雄飛

あぁ、これは何とも複雑な味わい

ネタバレ
2024年12月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ はぁ、横の繋がりを描く幼馴染同士の物語に、大人が絡むと、どうしてこうもザラっとした苦味が先走る物語となるのだろうか。

母親に守ってもらえなかった過去を持つタダシと、普通の学生のトモキ。明るいタダシが、大人に搾取されて、堕ちていくのを横目に、複雑な感情を抱きながら、お互い何事もないかのように振る舞って、心の傷付きから自分たちを守ろうとする姿が切ない。

大切だから言えない、自分に助けられる力がないから言えない、の微妙な均衡を崩すある出来事で変わる関係性…。
見方によっては、大人のせいで、堕ちていった2人。しかし、大人のせいで置かれた環境の中で、大人にはおかせない2人だけの絶対領域を作り出して安寧を見つけた物語とも言える。何ともほろ苦く、でもだからこそ微かな甘味を、より一層強く感じる。
短編で、ここまで深い感情を抱かせる作品作りはさすが。SALEで出会った掘り出し物🍁
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