能美先輩の弁明
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能美先輩の弁明

大麦こあら

愛とは

ネタバレ
2025年1月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 友人の勧めで購読。高レビューに納得ですが、レビュー数にビックリ!みんなこれを読んだら語りたくなるんだなぁと共感しました。私も語りたいものの一人です。

大学の哲学科に通う自堕落な能美と、オープンゲイで真面目な学生の瑛人の魂がひとつになるストーリー。
タイトルは、メインキャラの2人が哲学科ということから、哲学者プラトンによる『ソクラテスの弁明』をもじっているのがわかります。
他にも、セリフのあちこちに哲学者の言葉や本の引用があって面白かったです。特にどの本もしっかり読んだことはないのですが、哲学って答えのない事を延々と考える学問じゃないですか。過去の文献を読んでいる2人の共通認識の上で成り立つ高度な会話が、何も知らない私でも興味を惹かれて面白かったです。
体の関係から始まった瑛人×能美ですが、自分では自覚していないうちにしっかりお互いに気持ちが向いていて、しかも誤解からすれ違ったりして胸が張り裂けそうでした。
愛とか恋とか、哲学を志す彼らにとっては永遠のテーマだと思うのですが、それは本当にいろんな答えがあって、この2人が混ざろうと言った言葉、ひとつになりたいという願い、全てが愛なんだと思うと愛おしいです。
また、能美が3年生なのに対して、大人っぽい瑛人が一年生でまだ幼いところがあるのも魅力的でした。
特に、能美がいとこの家で引っ越しああ作業を手伝っていたときにウーバーでバッタリ会ってしまった後の態度!あんなに酷い態度しなくてもと思いますが、あの時の瑛人には悪態をつくことが精一杯だったんだなと思うと幼くてかわいいです。
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