愛すべき娘たち
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愛すべき娘たち

よしながふみ

誰もが誰かの娘

2025年1月7日
最初に登場する「雪子」さんを中心とした、周りの人々のオムニバス5編。
最後の最後、雪子がかけた言葉に「麻里」さんが笑みをこぼしたのが何とも言えずよかった!
相田みつを先生の『育てたように子は育つ』という本のタイトルの言葉が、自分自身を顧みても、育てた子供を見ても、改めてその通りだなぁと思わずにはいられません。
母に「手に職」と言われて育った自分と、「一生できる仕事と自身で稼ぐお金の大切さ」を娘へと語った自分。それは確かに伝わっていたのだと思えるのです。
母が亡くなった日、実家に帰る3時間の道中、小さかった子供たちが引くほどずっと泣いていました。突然の別れが受け入れられず、電話をかけても、もう向こう側で受話器に出てくれる人がいないのだと思う喪失感。
本作では様々な家族の繋がりと絆、娘としての思いなど、どの話も明確な答えなど描かれていません。読者がそれぞれに感じ取るからこその余韻があるように思います。
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