后宮のオメガ
」のレビュー

后宮のオメガ

露久ふみ

電子コミック大賞2025BL部門受賞作品

ネタバレ
2025年1月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 小国の王子として同盟国の王に輿入れしたΩのイリヤと、少年ながら王であるαハーリドのお話。

上巻はイリヤが輿入れし王であるハーリドと少々交流し親しくなるが、ハーリドが行方不明となり、イリヤは王宮から姿を消す。
ハーリドの兄が王となるも、国は荒廃し8年経過…。

8年もの時が経過しているにもかかわらず、ハーリド以外の登場人物が全然変わっていないのが気になりました。
人物が変わらないのなら、もう少し栄華を極めた国と8年後の荒廃した国の様子を丁寧に描写してくれたら、対比で時間経過を感じられたりしたのかも。残念。
ハーリドを大人にするためだけの8年では? と勘ぐってしまいます。

下巻では8年ぶりに出会ったイリヤとハーリドが兄王と対決。
思った以上にアッサリ展開。

上巻から思わせぶりで策士っぽい言動で物語を煽りまくっていたナタシュウのチェン。
絶対立場が二転三転すると思っていたのに、アッサリ兄王討伐に手を貸すし、その後の描写は無し。
彼の今後はハヌ国には関係ないけれど、少しはその後が見たかったです。

そして兄王。
因果応報を地で行く典型的な展開。
個人的には公的にちゃんと断罪されて欲しかったかな。

最後にイリヤとハーリド。
こちらもアッサリ。最後は王族話にありがちな後の世で語り継がれている的ラスト。
エロは本編とおまけに1回ずつ。これもアッサリ。もっとラブラブが見たかったー。

8年経っても変わらず想い続けるような2人の絆や、その後の2人の仲睦まじさ、ハーリドの王政の様子など読みたいのに読めなかった部分が多すぎました。
上中下巻とかでも良かったかもしれません。
余計な展開など無くある意味スッキリと纏められていましたが、王朝大河っぽい作品で完成度とBLの両立は難しいな、と感じました。

他の方も書いておられるように、絵は確かに話が進むにつれてどんどん雑になっているし、ピアスは付いたり消えたり、はたまた左右反対になっていたり自由過ぎましたが、話に入り込めない程ではありませんでした。
それより話の薄さの方が気になりました。

最後にペットのトラ(タルジュ)が、もはや大きなネコとしか思えないくらいおとなしかったのが気になりました。
トラが大きくなったら、じゃれつく際多少ヤンチャしそうなものなのに。
最後まで野生の牙を抜かれた状態だったのが残念。
タルジュよ、野生を取り戻せ!(笑)
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