オメガ・メガエラ
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オメガ・メガエラ

丸木戸マキ

こんなオメガバ作品は読んだ事が無かった。

ネタバレ
2025年1月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 丸木戸先生のオメガバ作品は、完結してから読もうと思っていました。作者のあとがきをスキップする程ハラハラした中盤は、一気に読める事に感謝でした(新刊購入されていた方は本当に凄い)

大正昭和の大戦前後をベースにしたオメガバの世界はめちゃくちゃリアルで、人格ではなく性別を理由に人生が決められていく社会は理不尽なのにそこに絶望しても受け入れるΩと、変えようとしたのがαなのも、なるほど…と良かった。恋愛結婚だったはずなのに実はそうではなかったと、最後の最期に家の為だった彼を知る犀門の、魂の番を研究していた彼が絶望する様子に作者の作品を読んでる…とじわじわ。産めよ増やせよはオメガバだとそうなのですね…と余りにも理不尽なΩの扱い方と収容所の服がリアルで(焼印が…)α×ファシズムの恐ろしさを視力障害×Ωの、上流階級夫人でもわざと転ぶくらいの強さでぶつかって物の様に扱うαの彼にはサツでした😩

9巻表紙…気が触れた感じが良かった😩
10巻…終わるの本当に?とハラハラで…なぜにこんなに感情移入したんだろうと思ったら、昔のΩはね…と性別に対する価値観の変化を話すシーンに、あぁ、この4年と重なるんだと思いました。α促進剤をΩが飲むとαが必ず産まれる…だけどその子が成人したら不妊になっている…の薬害小話も、2020年からの作者の感情を感じたというか。世の中が変わって子どもの時代になっていく物語と今が何となく重なりました。
真宮の収容所時はもう楽になった方が…と心が折れた感じで読むのが辛かったけれど、あの時彼が諦めなかったシーンを読めた事は凄く救われたというか。生き抜く事の無限の可能性というものを、だよねと、思い出せて良かったです。
特別編は感無量で涙で。ラストの車のシーンのあのセリフのやり取りから、明るいんだろうなこの家族の未来はと。それは皆んながそれぞれ絶望しても、最後は諦めなかったんだからだろうなと。
戦争のシーンは無かったけどその時代はそれぞれの状況から感じられ、あんなに綺麗な財閥のα青年 有憲が片脚で帰宅するシーンに、丸木戸先生ッ😩 もう一度リボンを!!と泣きました。静かにだけど確実に癖に刺さる状況があって、BLの様なオメガバ作品ではないのですが、あの時代の艶感が耽美でした。
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