このレビューはネタバレを含みます▼
父が犯した罪の賠償をし続ける狐のコガネと、目が見えなかった黒猫の少年クロのお話。
公共の場で読むのがとても危険な作品です。
うっかりしていると大号泣してしまうので収拾がつかなくなります。
私はめちゃくちゃ泣いてしまったし、好きな作品でしたが、正直読む人を選ぶ作品だと思われます。
理由は主人公コガネの行き過ぎた献身。
コガネの献身が許容できるかできないかで大きく変わってくると思います。
コガネがクロを思い、クロのために何でもしてあげたいと行動する様子は本当に健気でいじらしく、可愛らしくて涙を誘います。
が、コガネの生い立ちを考えたとしても、そこまで自分のすべてをクロに捧げる献身は読んでいて辛いし、ちょっと視点を変えると独りよがりで理解しがたいかもしれません。
コガネはただただクロの幸せを考えて行動していましたが、そこに自分の幸せは存在しないし、クロが考える幸せの在り方も否定しているように思えて悲しかったです。
クロがコガネに対して語った「俺の幸せと、コガネの幸せを、すり合わせたい」。
このセリフがこの作品の全てではないでしょうか。
自分の幸せを押し付けるのではなく、他人の言う幸せを受け入れるのでもない。二人に幸せを見つけたい。
長い物語の着地点がこのセリフに込められていて、まだこの段階ではラストまで進んではいませんでしたが、ストンと腑に落ち自分の中のモヤモヤも解消できました。
BLとしては、コガネの気持ちが終始家族愛以上のものに見えなかったので、結婚はまだしもエチがあったのがちょっと意外ではありました。
それなりに楽しめましたが、この作品では無くても納得したかも。
そうなると本格的に家族愛の話になってBLではなくなってしまいますがw