初恋が牙をむく
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初恋が牙をむく

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心に深く爪痕を残した初恋

ネタバレ
2025年3月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作品全体の雰囲気が、情感があって、心にグッと深い爪痕を残した初恋を忘れられない気持ちが、ドキドキと胸を打ってくる作品。同性を好きなことを親や周りに言えない、秘密に押し潰されそうな高校時代、その気持ちを受け入れてくれた大好きな嵯峨とのキスを、幼い弟に見られて、弟がその事で喋らなくなってしまい、気持ちに蓋をして引っ越しと共に嵯峨から逃げてしまった過去。10年以上経って再会した二人が、無視された辛さ、勇気が出せない気持ち、大人になってもまだ変わらずに初恋の時みたいにドキドキと高鳴る心、そんな震える様々な気持ちを抱えて抑えて、抑えられなくて噴き出す感情が、作品全体に緊張感と沁み渡る情感を与えていて、終始引き付けてくる作品。主人公の歳をとっても可愛い恋の純粋さや、嵯峨の表のクールさと異なり心の内で恋焦がれている情熱が読後も印象的で、言外の雰囲気に余韻の残る作品。本編エンディングの「あの日心を・・」の言葉がこの作品をよく表していて、集約されたようで、すごくグッときて、心を打たれました。好きな作品です。
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