目眩はまどいのつがい
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目眩はまどいのつがい

早寝電灯

オメガとアルファへのエンパシー

ネタバレ
2025年3月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ まごうことなき早寝先生のオメガバでした。先生、全てのパターンのオメガバを描くご予定はありませんか…?!!(マジ)●オメガバの世界をエンパシーを持って深く想像し、描かれた作品だと思います。社会的なオメガの生きづらさも、アルファの苦悩も。オメガバという歪みのある世界観だからこそ、早寝先生の紡ぐ誠実な物語が一層やさしく光っている気がします。大好きな『52ヘルツの共振』も光の物語でした。ジェンダーの不平等がこれほど根深い世界において、対等を追求したこの作品はやっぱりとても意義深い。オメガバの世界をまた一つ広げた作品なのではと思います。●かなり本能の引き合いが強い2人だからこそ、慎重に仲を深め、お互いの痛みをケアし一つずつ信頼を積み上げる、その過程が大事にされていました。今後長く長く航路を共にするであろう関係を築けたのは、やっぱりこの過程があってこそだと思いますし、非常に説得力がありました。●和巳さんの古本屋とバーの仕事模様はもっと見たかったなあ…。しかし、オメガバだとアルファって社会的ステータス高くてシゴデキな設定があまりに普及してるけど、先生の作品はアルファが仕事にギンギラしてないとこも好きです。作品に描かれたことも大事ですが、敢えて描かなかった沢山の細かい物事が(内容は推し量ることしかできませんが)この作品をとても素敵にしている気がします。●巻末の裏の女性は…そういうことですよね?私はオメガバでモブオメガが自失して身を滅ぼす展開を受け付けられないので、ほっとしました!
●ハイペースで毎度奥深いお話を作られる早寝先生マジリスペクトです。どんなお話も買うので、先生の自由に、創造を続けてくださると嬉しいです!
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