目眩はまどいのつがい
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目眩はまどいのつがい

早寝電灯

めまいまどいつがい

2025年3月16日
待ってました!の早寝電灯先生、作家買いです。タイトルがとても染みます。いつもながら秀逸…。今回はこれまた、タイトルも内容もとても素敵だったオメガバの名作!と自分は思ってやまない「52ヘルツの共振」に続いての2作目のオメガバ。正直、もしかしてスピンオフ?と思ったけれどまた別の世界線でした、多分。それはそれで新鮮さもあり、こんなやさしい(あえてのひらがな)世界のオメガバはいくら読んでも安心して読めます。(ほんとは苦手なんですよ…わざわざΩを差別して面白くドラマチックにできるのか…創作だと分かってても…)少人数的な立場置かれてる人たちに対する眼差しがとてもあたたかくてこちらもはっと気づきをくれます。そうだよ、もし実在するとして地震が起きて避難場所にいく時、Ωはどうなる?安全に守られる場所、α上位の世界でΩを見下してる世界で果たしてそういうのできるのか…思いもよらなかった。ほんとそういうところ。そんな目線だからこそ哲学的で深い人間愛を感じ読んでるこちらも癒されていく感覚になります。52ヘルツ~ではΩがとてもストイックだったけど、この作品では逆にαが自制心をひたすら貫こうとしてて。ひたむきにそれでも向かい合おうとするΩ。目眩はきついけれど運命によるめまい、発情のめまい、不安のめまい、うろたえるまどい、集まるまどい、まようまどい、そして運命のつがい、約束のつがい、つながるつがい。ふたりがとにかく距離をまどいながらもつがいになってゆくところがゆったりと自然で読んでるペースは普通のはずなのに時間の流れがとてもゆるやかでながく読んだような感覚で不思議な時間の流れでした。やっぱり早寝電灯先生ワールドは心が洗われます…。とにかくよかったです…。
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