このレビューはネタバレを含みます▼
最高なのに、表題でもなく作品内容文にも入れてもらっていない……昔読んだことがあって探している方、川原泉のフィギュアスケート漫画『銀のロマンティック…わはは』はここに収録されていますよ!
少年と少女の挫折と努力と銀色に輝きいつまでも消えない記憶……著者独特のシニカルさコミカルさと素直な部分がちょうどいい感じにまとまっている傑作です。飼い犬ポチの忠誠にも涙。
6点満点制だった時代のフィギュアスケート、伊藤みどり選手のキレと高さのあるトリプルアクセル、明るい演技が大好きでした。一方、テレビの解説アナウンサーとかが「スタイルが〜」「もっと色気が〜」ってぐちぐち言ってたり、「芸術性が〜」ってしたり顔で言っててムカついていました。「芸術性は色恋や色気だけじゃないし、同じ日本人なんだから良いとこ応援せんかい!」って。
そんなフラストレーションを全部晴らしてくれたこの作品。
色気とかとは違う芸術性と高い技術力で世界と正々堂々と勝負する……いや、勝負と言うにはふさわしくないかもしれない、純粋な挑戦。そうなんだよ、スポーツってこうあってほしいんだ。
現実との差でも涙を誘われるこの作品は、とても美しいと思います。
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表題作は野球漫画、これも良いです。後年、同主人公のプロ野球漫画『メイプル戦記』も描かれていますが、こちらの余韻が私は好き。
もひとつ同録に『ゲートボール殺人事件』。これはゲートボールチームと極道との絡む、殺人事件コメディー。しかし、実際にゲートボールでの高齢者の暴力的諍いが多かったっていうのが恐ろしいですよねぇ〜……廃れて良かった。