心中するまで、待っててね。
」のレビュー

心中するまで、待っててね。

市梨きみ

稚拙な感想ではありますが……

ネタバレ
2025年4月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作り手の意思一つでハピエンにもできる創作で、あえてこのストーリーをしかもBLで表現する意味って何だろうなぁと、いち読者なりに考えてみたのですが難題……でも無理してメタ考察でも始めないとやってらんないほど悲しいし哀しい物語……。軽い気持ちで自我を通した大人たちと、それが子ども(次世代)に与える影響の因果関係(一側面が強く凝縮されてはいますが)が、本作品の設定の中ではより浮き上がって私には見えました。誘拐犯の身勝手な行動は勿論、葵父不倫カプの煩悩、葵母の自己正当願望、もっというと福太の虐め引き金となった引っ越しすらも(福太親にも事情があったのでしょうが)、子どもを軽んじる大人の欲望がとんでもない残虐な結果を生むという印象が強い作品。この作品はいわばメリバだと思いますが、被害時点から時間が止まってしまう被害者視点を幽霊で表現したのかも、とも思いました。大切な人に助けを求めたり、普通に恋愛することにすら、相手に重たい荷物を一緒に背負わせているという罪悪感を覚えて自分を責めてしまう、でも一人では抱えきれないし。ふつーに生きて、困ったり苦しかったりしたらふつーに助けを求めたいのが通常の感性だと思います、被害後はそれができなくなってしまう。被害者が被害ゆえに自責するのは救いがなさすぎる、でも実際そういうことが現実でも起きているかも、と葵に教えてもらった感じがします。
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