前半は、どこか不穏な雰囲気がありつつも、とてもハートフルに2人の日常が描かれており、大変読みやすいです。
ただし、そんな他愛のない2人の日常に、どこかチラつく怪しい影。
下巻では、読者が予想はしつつも避けていたかった事実が一気に描かれます。上巻に漂っていた不穏な雰囲気にちりばめられた伏線が一気に回収されていくところはもはや美しさまで感じます。ラストは、賛否両論分かれるところだと思いますが、私はとても好きな結末でした。あれが、2人にとって1番幸せな結末なのではないかと思います。
衝動的に買って一気読みしましたが、後悔は全くもってありません。むしろ、もう一度記憶をなくして読み直したいほどです。表紙の仕掛けも含め、とても美しい作品だと思いました。