呪われた黒獅子王の小さな花嫁
」のレビュー

呪われた黒獅子王の小さな花嫁

月東湊/円陣闇丸

BL小説として読むと少々残念でした

ネタバレ
2025年4月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 呪術師の呪いによって黒獅子頭を持って生まれた王子ダルガートと、小人族族長の息子リラのお話。

舞台となった王国では忌むべきものとされている黒獅子の頭を持って生まれてきてしまったダルガート。
幼少期から現在まで彼を取り巻く環境が酷すぎて、彼がまともな王子として育ったこと自体が奇跡のようでした。
正直ダルガートが懸命に、それこそ自分の呪いを敢えて解かないという選択をするまでの献身をもって守るような国ではない、としか言いようがありません。
国自体があまり好きになれなかったので、2人で愛の逃走劇を繰り広げてくれても全然良かったのですが(笑)、ダルガートとリラは守っちゃうんだよね。健気…。
彼らの心持ちはとても尊く素晴らしかったです。

ただ、ライトノベルやら国の英雄譚としてなら良い作品だったと思えますが、BLとして読んでいると結構残念な感じでした。
2人は結構早めに両想いになるし絆もとても強いので、ストーリーは彼らの恋の行方を見守るものではなく、呪われた獅子頭の王としてどのように国を纏めていくか、が中心にあったせいで、BL感があまり感じられず。
メインになってしまった政治面も、戦争2連発は少々飽きてしまいました。
とくに郭国の戦争は領主の独断での侵攻とのことでしたが、侵攻理由が分からずモヤモヤ。
国に戻ったら急に弟がダルガート派に寝返るのもご都合主義が強めに感じました。

そして一番重要なのが、結局2人がラブラブできるのは今後も奇跡の実を食べた時だけなのか…ということ!!
これまでの話の流れて予想はできていましたし、2人が納得していることなのであれこれ言う資格も無いのですが、ダルガートの人間バージョンの挿絵を見てしまうとね…。
これが奇跡の実を食べた時限定となってしまうことが残念で仕方ありません。
出来れば本来の姿のままでも皆に受け入れてもらえる情勢になって欲しかったな。残念。
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