日出処の天子(完全版)
」のレビュー

日出処の天子(完全版)

山岸凉子

BLを愛する人にも読んでほしい

2025年4月28日
「時空を超えた答え合わせ」これは私が好きな文才オタクyoutuberさんが放った言葉なのですが、私にとってこの作品がまさにそれ。以下自分語りの長いレビューになるのをお許しください。

この作品を初めて読んだのが10歳くらいの時。仲の良い漫画友達の家に遊びにいくたびに、その子の家の本棚に黄ばんだままずっと並べてあったこの本が気になって読ませてもらったのが最初です。ジャンプやりぼんを読む普通の漫画好きだったのですが、この作品の桁違いの画の美しさとストーリーに衝撃をうけてそれから何度も読み、高校生くらいで自力で全巻揃えたのを親に処分され、それをもう一度買いなおすくらいにはまりました。当時はすごい少女漫画という認識でした。

で、先日ビアズリーという画家の美術展を見に行った時にふと「ひょっとして私のBL好きの原点は『日出処の天子』だったのか」とすっと腑に落ちまして。(巷では山岸先生はビアズリーの影響を受けていると言われているのを思い出したので)
今読んでいる数々のBLの中でも特に心に残るものには、この作品のエキスが入っていることが多いのです。まさに時空を超えて答え合わせをしたような気分でした。いわゆるBLを読みだしたのはもっと後なのですが、子供の頃に刻み込んだ記憶やコアな癖はそうそう消えないんだなと脳の不思議を感じます。

とんでもない画力で歴史上誰もが知る人物を同性愛者として表現し、超人であるけれど誰よりも深い人間の業を背負わせています。よく禁書にならなかったなと思うくらい。これ以上の結末は不可能だと思わせるほどのそこに至るまでのストーリーの深さと重み。今読んでも全く色褪せないどころか、自分が色んな経験を積んだことでさらに解像度が上がり、正直今の方が読むの辛いのですが・・・
謎の自分語りレビュー申し訳なかったですが、かなり昔に出版された作品ですしBLジャンルでは上がってこない名作なので、BL好きの方にも伝わるといいなと思いレビューしました。興味持たれた方はぜひ!
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