このレビューはネタバレを含みます▼
前世で引きこもりだった飯沼結(犬)とRPGゲームシリーズの最初の作品の勇者(初代様)のお話。
ウェブ小説で読んでいた作品でしたが、書籍化していたので購入。
私的にウェブ小説は玉石混交で当たりはずれが激しいイメージですが、この作品は大当たりだったと思います。
とにもかくにも文章がお上手。
普段軽妙で読みやすい文章にもかかわらず、シリアスな場面ではシーンに合わせたテンションで読ませてくれます。
番外編を含めると結構分量多めだったと思いますが、スルスルサクサクと1日半ほどで読めてしまいました。
物語は最近よくある転生系。
引きこもりゲーマーだった結が、好きなゲームの最新作を買いに行く途中で通り魔に遭い刺されて死亡。
そのまま最新作の勇者として転生します。
普通は転生したら陰キャな自分を治そうとか、旅の仲間とのコミュニケーションを頑張ろう! とかなりそうなのに、徹頭徹尾陰キャでコミュ障。
ただ、その性格が「犬」になると、ただただ理想的なものとなります。
普通、結構初代様の性格って嫌われポジションになりがちなのに、犬にとっては理想のご主人さま(笑)
まさに割れ鍋に綴じ蓋な感じで相性バッチリ。
犬が健気に初代様を慕う様子が本当に可愛らしいし面白い。
初代様の無理難題で一晩でエクスカリバー用の石を取りに行くイベントでは、あまりの健気さに涙まで誘われてしまいました。
そんな健気な犬に初代様が絆されないわけがないわけで。
ツンデレのツンが99%を占めている初代様なので、最大限の譲歩が「ツレ」という言葉に集約されていたのかな、と推察。
普段「ツレ」というワードに萌えるなんてことはないのに、この作品に限っては一番萌えるワードでした。
書き下ろしの初代様に名前を付ける話も良かったです。
実際の世界とは異なるのかもしれませんが、お母さんに今までの感謝を伝えられたのが良かったな。
これが本当のお母さんにも伝わっていると良いな…。
登場する人物はほぼ犬と初代様だけなのに、これだけ色々思いを馳せられる作品。
結構奥が深いな、と思わされました。
読んでよかった良作。とても読みやすかったのでまた読み返したいです。
登場人物は異なりますが同じ世界観のシリーズがもう1冊あるので、こちらも読むのが楽しみになりました。