愛の刺青
」のレビュー

愛の刺青

赤色マッシュ

巳年にふさわしい純愛エロス

ネタバレ
2025年6月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『サイコアナ…』で鮮烈なデビューを飾りその名を轟かせた、個性際立つマッシュ先生。
絵柄はさらに洗練され、今作ではより刺激的でアナーキーな題材を取り入れておきながら内容は実に繊細。若手彫師の愛助と冴えないアラサーの尚紀がそれぞれの抱える迷いや心残りを解放していく、エロティックかつやさしい救済物語です。

「つまんないんだもん」…そう結婚するはずだった相手に打ち明けられ己の平凡さに辟易とする尚紀。変わりたい…すっかり自分を見失い半額の寿司を手に帰宅する彼の目に映ったのは、愛助の勤めるタトゥースタジオだった。
勢い余って入店しただけの尚紀の要望を的確に見抜き、丁寧にヒアリングする愛助。話を深めるうち心の距離も近づいて行き、いつの間にか尚紀の欲望に火がついてしまう。身体を許したわけでもないのに、それからずっと愛助の囁きが耳を離れなくて___
思い入れと共に刻むタトゥーは、よくも悪くも当人の人生に大きな影響を及ぼす。愛助の心臓部に刻まれている「ブラックアウト(もともと刻まれていたモチーフを塗りつぶす手法)」が何を意味するのか、それを彫るきっかけとなった人物にどんな想いを抱いているのか?
彫師としての愛助と、何の肩書きも持たないただの愛助。錯乱状態の尚紀が恋に落ちたのはたしかに彫師の愛助だけれど、落ち着きを取り戻してから心惹かれたのは、過去も未来もすべてひっくるめたそのままの彼だった。
一方の愛助も、尚紀を通じ水面下で自分の過去に向き合っていて、それが尚紀に様々な誤解を与えてしまうのだが…
最終的にはハッピーです。
ハッピーでエチエチで、ラブラブヒーリングエンドです。
タトゥーはもちろんのこと背景の描き込みも細かくて素敵だし、興奮するとタトゥーが腫れあがるという萌え設定がとくに素晴らしい。修正は残念ながら真っ白ですが、いろんな汁がいろんな輪郭を補ってくれているのでそれほど気になりません。
脱皮して変身、というより、余計なものを脱いだらお互いの素顔が現れた……どんないかつい話なのかと思いきや、意外にも素朴な2人でした。

ところで、師匠とのいろいろも今後詳しく知ることができるのでしょうか??番外、続編、心よりお待ちしています。
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