恋をするならひれ伏して
」のレビュー

恋をするならひれ伏して

ハルモト紺

参りました!(私が平伏!)

ネタバレ
2025年7月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みであまりに綺麗な絵に惹かれ購入を決めました。
数ページ読んだ時はケンカップルリーマンものねと思っていたら…そんな簡単な言葉で表してはいけないほど深いぞこれは!と思ったのと涙が溢れたのが同時でした。

営業トップを争う同期の時藤と早瀬。
時藤は社長の息子であり営業成績常にトップ、早瀬は地方出身の負けん気の強い男。奨学金も妹の学費も払っている苦労人。
色々な意味で敵わない時藤を常に気にしライバル心を燃やす早瀬だったが、ある出来事を境に気にする内容が変わっちゃう。赤い顔でソワソワしてるの可愛いな。

生まれも育ちも違うけどこの2人は似ている。
どちらも妹のいるお兄ちゃんであり、他人に甘えるのが下手で、欲しいものを欲しいと言えない性質。
欲しい物って、例えばケーキ。
同僚たちから見れば完璧に見える彼らが求めていたのはこんなささやかなものだった…って言っちゃいけないね、こどもの頃の誕生日ってかなり特別な日。
チョコレートケーキじゃなくてショートケーキが食べたかった時藤。ケーキ自体が用意されなかった早瀬。
時藤が買ってくれたコンビニのケーキに目を輝かせて感動し、時藤の誕生日にはショートケーキを食べようと言う早瀬。2人の切ない思い出が昇華されたようでジンとしました。

もう一つ欲しいもの、それはキス。
特別な人とはキスしたいよね、分かるよ早瀬!
このおねだりシーンで、これでもかというほど色っぽく描かれる2人の唇に私の目は釘付けでした。
ケーキからキスの流れ甘過ぎるぞ!とキュンキュンしながら読んでいたら、そううまくは行かずしょっぱいシーンが訪れます(泣)

時藤は父の期待に応えるしか道がないと思いながら育ってしまったから、早瀬と出会いそれ以外の生き方もあるのかもと思い始めてもそう簡単には変われない。
切ないなぁぁと思っていたら、以前早瀬がポケットに忍ばせた物が再び2人を結びつける。

かなり気を張っていないと崩れそうな足場に立っていた時藤と、玄関で蹲りながら弱りかけた心を奮い立たせていた早瀬がお互い甘えられる存在となった。
思っていた通りの結末と言ってしまえばその通りなんだけど過程が良過ぎた。

今後親父との対決があるんだろうか。更なる甘々を見るためには再びしんどい思いをしなきゃいけないのかもだけど、この2人なら乗り越えられると信じてるので私も気合い入れて続編待ちます。
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