名づけそむ
」のレビュー

名づけそむ

志村志保子

名前に関するアレコレ短編、10編。

ネタバレ
2025年7月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 子供の名づけをアレコレと悩んだ至福の時を思い出しました。字画、字ズラ、音感、名字との相性、漢字の持つ意味。何よりその子を呼んだ時にしっくりと共鳴するのかどうかを。

特に好きなのは1話目のお母さんの話。自分を捨てて出ていった母を許そうと思っていた娘の気持ちを、根元からポキっと折るような行為が出来るのは、唯一この母だけ。この母だけだったんです。この先、娘さんが子供を産む事があれば、巡り巡って、母の気持ちに気付く事があるのかもしれません。

他の短編も良かったです。樹木の名前に、好きな子の名前を見つけた少年の話とか…。名前に意味を見つけるか、ただの記号にするのかで、思いの差を感じて切ないね。
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