いつか君とはなれ【単行本版】
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いつか君とはなれ【単行本版】

井上ナヲ

「好き」の中身が変わるとき

ネタバレ
2025年7月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 高校生の野村喜一は、アパート経営する人形作家の義父•次郎とアパートの住人たちと暮らしています。住人たちに囲まれての賑やかな生活は慌ただしくも活気があり、喜一は作品制作に没頭して生活は二の次になってしまう次郎さんのフォローにも忙しい毎日です。喜一は早くに父親を亡くし、母親が夫婦共通の友人だった次郎さんを頼ったことから家族になりました。次郎さんのアパートで一緒に暮らすようになり、家族となり、ほどなく母親が亡くなり、血の繋がらない二人が家族として残されたのでした。高校生となった喜一は、次郎さんのことが好きだと自覚し、ずっと一緒にいたいと考えます。でもそれを聞いた次郎さんは、喜一と距離を置くようになってしまうのでした。喜一の想い、次郎さんの想い、いつしか二つの初恋が重なってゆく過程が250頁近くかけて丁寧に描かれます。優しく静かなお話はエロなしで、恋と同時に大好きな人が父ちゃんから次郎さんへと変わってゆく喜一の成長物語にもなっています。
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