火花
」のレビュー

火花

中村明日美子

凄いの一言

ネタバレ
2025年7月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 素晴らしいも感動したもちょっと違う。とにかく凄いという言葉が一番しっくりくる。初めての作者さんですが、独特の絵柄で、一瞬の動きや思い出など場面転換や捉え方や切り取り方の描写が抜群に上手い。映像を見ている感覚。むしろ映像より余韻がじわじわと心に残る。第1話で終わってもいいくらいの完成度の高さ。
ストーリーも秀逸。男女の絡みがあるので地雷の人は要注意だけど、それもこのストーリーの大切な要素。2人の男性の火花(この表現も凄い)が散った一瞬に全てを見抜いた女性の視点で、男性達の関係性がその後もずっと描かれる。この女性の戸森さんのおかげで、耀司と三郷は正面から向き合い互いに受け入れ心から結ばれた。自分の彼氏が他の男性と付き合うのを後押しするって、戸森さん本当に男前!てかもうこのレベルで女性とか男性とか男前とかそんな言葉も使いたくない。これは人間性の問題。
この3人が高校の同級生というのも大きいんだろう。恋愛だけではない、友人として日々を一緒に過ごした中で芽生えた心配で大切に想う気持ちが根底にあったからこそ、戸森さんの言動に繋がったんだと思う。できれば3人のまたその後を続編で見てみたい。
もう1つの短編「英雄と少年」も不思議に心に残るファンタジー。短すぎるけどだからこその余韻。こちらも続編あれば見たい。
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