賢者とマドレーヌ
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賢者とマドレーヌ

榎田尤利/文善やよひ

感情欠落系の美丈夫108歳にて初恋をする

ネタバレ
2025年7月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 文明が行き着いた先の未来であろうアカーシャという国が舞台の壮大なファンタジーBL。アカーシャはニウライという神に近い絶対的存在を中心とし、特権階級のアーレ、庶民であるジュノによって構成されています。優秀で美しく長寿なアーレの中でもさらに抜きん出た者はソモンとなり治世を担います。風読みのソモンは次期賢者(実質上のトップ)と目されているものの、本人は世俗に興味がなくもっぱら鳥や獣たちを可愛がっています。その風読みが、アラズと呼ばれる森の民の若い青年を保護します。人にあらずと差別されているアラズの青年は、風読みの館でも言葉を理解せず粗野な行動を取りますが、大鴉のクロウや巨大な象猫プティとは心を通わせます。マドレーヌがお気に入りの美しく自由なアラズの青年と、高い知性と清らかな心を持つ108歳の感情欠落系美丈夫とのファンタジックなお話は、物静かな風読みがアカーシャの過去の謎と未来の不安を解消し、遅れてきた初恋を手に入れるべく奮闘します。そこに風読みの親友•明晰のソモン、癒しのソモンを始め、風読みの館で仕えるジュノの少年タオ、さらに森の民や岩山の民たちが生き生きと物語を彩ります。また風読みたちと敵対する秩序のソモンと豪放磊落な明晰のソモンとのやりとりも楽しく、もう一つの恋の萌芽にわくわくします。象猫プティの巨大なモフ可愛さはもちろん、誇り高い翼竜も素敵にカッコ良く、文善やよひ先生のイラストが素晴らしいです。現在2巻でまだ風読みとマドレーヌの試練真っ最中です。
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