Daisy Jealousy
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Daisy Jealousy

おげれつたなか

嫉妬する気持ちとの折り合いのつけ方

ネタバレ
2025年7月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 専門学校時代に才能に嫉妬していた相手と、社会人になり再会し、恋人になるまでの複雑な気持ちを描いたお話。
ゲーム業界で働く三咲と要。学生時代から天才的な才能を発揮し続けるコミュ障の要は、仲良くなった三咲を一途に想い続ける。かたや三咲は、同じものが好き同士で仲良くなればなる程、努力では追いつけない要の才能に嫉妬して劣等感に苛まれる。そんな二人が、仲良くなっては破滅してを繰り返すのが読んでいてとても苦しいお話でした。
多くの人が、三咲のやるせなさに共感するであろうこの作品。好きなものだから頑張りたい気持ちを才能という武器で木っ端微塵に砕かれて、何度も何度も落胆し、自己嫌悪で落ちていく。三咲と要は好みが似ているからこそ余計にその凄さも分かってしまう。要の悪気のない行動にも苛立ってしまう。全部捨てて、落ちるところまで落ちてもなお、忘れられなかった好きの気持ちを大切にしてくれた三咲の頑張りは、才能以上に価値があったのではと思いました。
二人は恋人同士になりますが、やっぱり一番近くでその才能を見続けることは私には苦行に感じられました。プランナーとして、要以上に三咲が成功をおさめられたという結末ならもっと手放しで喜べたと思いますが、この過程を見ている限り、こういう関係性は多少なりとも距離があった方が精神的には楽な気がします。
三咲の気持ちなり、コミュ障の要の気持ちなりは丁寧に描かれていましたが、何となく三咲のやるせなさが消えないままなのではと感じてしまいました。恋愛の好きと才能への嫉妬の折り合いのつけ方を深く考えてしまう作品です。
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