特級αの愛したΩ
」のレビュー

特級αの愛したΩ

神波アユミ

余韻の長いオメガバースの名作

ネタバレ
2025年7月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 特別なαで否応なく常に注目を集めてしまう礼と、そんな礼を特別視しないΩの司。
二人は偶然出会い、惹かれ合いますが、ある一人の男の卑劣な行為によって離れ離れになってしまいます。
二人の再会は、別れから10年後。
弁護士になった礼の事務所へ、出産代行のバースドナーとして依頼者と揉めている司が来たことから、再会したのでした。

離れてからもずっと司を忘れられなかった礼は、特別なαである自身の遺伝子を後世に残すことを頑なに拒んできましたが、司がバースドナーになった経緯を知り、いつか家族を持ちたいという司の想いを知って、司を救うためにある行動に出ます。
この行動(というか手段?やり方?)には正直「え?」と思うところもあったんですが、後から思い返すと、他人と直接的に体の関係を結ぶことが難しい司を救う手段として、礼が取り得る最善策だったんだと理解出来ました・・・。
ページを捲るたびに、礼の司への深い愛情、司の礼への深い愛情が交互に伝わってきましたし、また、離れ離れにならざるを得なかった過去の出来事による苦しみや痛み・離れていた間の10年という時間の重みを想像するにつれ、胸に込み上げてくるものがありました。
司を深く傷付けたある男は、終盤しれっと再登場してくる(しかもヘラヘラ笑いながら)のですが、ものすごく腹が立ってしょうがなかった。
だけど、、礼と司の同級生だった美和ちゃんによって、何とかギリギリ溜飲を下げることは出来たかな。美和ちゃん格好良かった!そして何より、司自身が「そんなやついいから」と言えたことが・・・(涙)この瞬間、司は本当の意味で過去から解放され、自分を取り戻して未来のために生きていくことが出来るようになったのだと思います。
想いが通じ合ってからの礼と司は本当に幸せそうで、ページを眺めているこちらまで穏やかで温かい気持ちになれました。最終話ラスト8ページは特に素晴らしく・・・中でも台詞の一切ないラスト3ページは秀逸過ぎて言葉が出ませんでした!(むしろ涙が出て視界が奪われます)
こんな素晴らしい作品を生み出してくださった神波先生に感謝です。
礼と司のラブラブな様子をもっと読みたいし、マタニティライフや子どもが生まれてからの生活も読みたいので、どうか願わくば、続編が出ますように。
とっても完成度の高い、オメガバース作品。
気になった方はぜひ買って読んでみて欲しいです!
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