友人の式日 るぅ1mm作品集
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友人の式日 るぅ1mm作品集

るぅ1mm

淡い恋の断片

ネタバレ
2025年7月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 優しいタッチの作風なのに書き込みが丁寧で安定感を感じる作家さま。短編集で4つ収録されて、どの作品も粒がそろっていて良作。ボーイズストーリー。
1巻176頁。星☆4.2

1話目は「ななしの恋人」真面目な戸田樹の下駄箱にラブレターが届いたことで始まるストーリー。この話が一番好きだ。戸田樹は名無しと手紙のやりとりを続けて、やがて交際を申し込む。名無しの正体は幼馴染の将悟だった。一通だけのつもりで書いた。それがまさかの展開に将悟は次第に罪悪感や自責の念に陥る。

2話目は「幽霊屋敷ラブロマンス」地縛霊の少年に恋する霊媒師の話。ガチの幽霊なので人玉が浮遊しているし少年の足は無い!果たして恋は実るのか。
3話目は「フランケンシュタインの友人」死体をつなぎ合わせて”友達”を作ったハカセの話。”友達”ヴィクターを作ったハカセだが友情以上の感情が二人には生まれてしまう。後半のハカセの眼差しがちょっと怖かった。

表題作「友人の式日」は亡くなった瞬が友達一也の前に現れる話。瞬には足がある。しかし一也以外には見えない。何故一也の前に現れたのか。終盤に瞬が生命の感覚をつぶやくのが胸に沁みる。

初読み作家さまだが、これはと見入ってしまった場面がある。2話以外のキャラ達の泣き顔。お腹の底や胸の奥から溢れる感情が涙となって出てきた顔つきが強く脳裏に残った。全作品エ〇はなく、軽いキスがMAX。ストーリー重視の方におススメ。
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