祝福されないこどもたち
」のレビュー

祝福されないこどもたち

きよね駿

考えさせられた

ネタバレ
2025年8月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 連続殺人犯の子供達、いわゆる加害者家族のお話。
親と子供は別人格だとは思う。両親が犯罪者だからって家族の人権は守られるべきだと思う。
ただ・・幼い子供にとって親は絶対的な存在で、育ってきた環境は無視できない。当たり前のように目の前で殺人が行われ、長女の波留子はずっと手伝わされていた。心への影響はあるはず。それが反面教師となるか、不幸な連鎖となるかは時間が経ってみないとわからない。
元々親しくしていた人となりのわかっている人が加害者家族だと後から知っても態度は変えないと思うけど、初対面の人の家族がそうだと聞いたら積極的には親しくなろうとはしないと思う。それは正直な防衛反応だと思うのだ。
もちろん、自身は犯罪者ではない家族をマスコミが騒ぎ立てプライバシーを侵害するべきではないと思うし、今作の子供達は良い子たちだから静かに暮らしてほしいと思う。穏やかなラストで良かったなと思った。ただ・・あまりにも平和でほのぼのとしたちょっとコミカルなラストには正直モヤっとした。登場した被害者遺族の関わりによって加害行為が矮小化されるような描かれ方をしたのも少し引っかかる。だから、少なくとも波留子には、罪悪感を一生忘れずどんな形であれ償いながら生きていって欲しいと思わずにはいられなかった。私、心が狭いのかな。いや、でもそれが偽らざる気持ちじゃないかな・・。
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