このレビューはネタバレを含みます▼
初読み作家さま、カードが導くオメガバースの世界。167頁 星☆3.8
新人漫画家の火坂 玲央は次作の執筆に苦戦していた。たまたま入ったファミレスで占いをしている秋風 律と出会う。都市伝説だと思っていた「魂の番」は突然現れた。今まで感じたことのない、腹の奥から全身に走る電気のような閃光を感じて秋風が運命の人と感じとってしまう。
やわらかそうなタッチの線に魅了されて購入。律はカードを切る手つきとか指先のフォルムが綺麗で繊細な容姿と相まってモテ度が見える。あと、服のセンスも独特だった。それが律を大人っぽくオシャレにみせる。
玲央はオメガで独立精神が旺盛。漫画を描いているときの充足感で生きている。ふと閃く漫画の構想を描きこむ眼差しの真剣さは凛々しくて魅力的。それでいて恋心からあふれる笑顔や赤面表情は幼さやウブさが混ざってギャップがすごくいい!
一方で律の背景に登場する祖母はオメガで、浮気性の祖父への愛を貫いた女。魂の番だから愛を貫いたのか、それとも未来をつくるために直感を信じ続けたのか。律が祖母を大切にしている優しさが心に沁みる。だからファミレスで占いを続けているのだろう。
テンポは軽やか、作風も丁寧で読みやすい。魂の番というドラマチックな設定よりは恋のロマンティックさが全体を包んでいる。オメガバース初心者におススメの作品。