このレビューはネタバレを含みます▼
芽が出ない漫画家と美術教室講師のラブコメディー 182頁 星☆4.0
29歳と半年の吉田光(ヒカル)は少年漫画の連載を夢見ているが次作が出せない。描く努力が認めてもらえないと、吐いた弱音を美術教室の足立先生は一蹴する。どうしようもなくあふれ出る涙にうずくまった時、先生の手は背中をさすってくれる。人生の底で拾った本音は「描かない方がもっと苦しい」だった
デッサン教室の先生は若くて誰にでも優しい美大出身のイケメン。ヒカルは先生がまぶしくて苦手だ。しかし女性誌からのオファーで恋愛漫画を描くことに。恋愛初心者のヒカルは先生に助けを求める。始まりは漫画を描く取材だった。
それなのに先生のスケッチや片想いの相手の話から好きがドンドン止められなくなっていく。
ヒカルは天然で図太くて、素直でちょっと卑屈。そんなヒカルが恋をする。糸目の地味顔で不様な自分は「先生に好きになってもらえない」と気づいた時の切なさ。それはザラリとした苦さとはじけるトキメキが一度にきて嬉しいような悲しい気持ち。恋の素描が形になって漫画は輝いていく。終盤に向かう連載と共に成長していくヒカルは今度は先生の力になりたいと思うようになる。
人生が下向きになった時どんな生き方をしたいだろう。そんなことを考えた。ラブだけでなくコメディーだけでもなくヒカルの本音で力がもらえる作品。