旦那様は妻の私より幼馴染の方が大切なようです(分冊版)
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旦那様は妻の私より幼馴染の方が大切なようです(分冊版)

染屋シノ/雨野六月

“胸糞”展開の見本市?!断罪…幸福とは?

ネタバレ
2025年9月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ ヒロイン(伯爵令嬢セシリア)は、没落寸前の候爵家嫡男ラルフと結婚。しかし夫の幼馴染みという女性(アンジェラ)が側にいて、妻の様に振る舞うのでした。

アンジェラは夫の母親の友人の娘、彼女が6歳の時に両親を失い、それ以来候爵家に引き取られ妹同然に育てられており、屋敷の使用人達も彼女を大事に扱う。

夫も非常識でおバカ丸出しですが、幼馴染み女性が、我儘放題で周囲がそれを許容している為、まさに『独壇場』逆にここまでくると、いっそ清々しいくらいです。

・結婚式に花嫁同然の白いドレスで参列。
・挙式中、誓いのキス寸前で卒倒し新郎の介護を受ける。
・体調不良を理由に新郎を自室で付き添わせ初夜を阻む。
・初夜の翌朝の朝食を、新婦を外し新郎とふたりで取る。
・その後も体調不良で新郎を引き留め夫婦の営みを阻む。
・ヒロイン出資で壁紙とカーテンを変えるにあたり、義母の約束があったからと、自分の趣味でオーダーする。
・ヒロイン夫婦間に生まれる子供の名をつけて良いと夫の言質をとる。そればかりか子供に「アンジェラ・ママ」と呼ばせて可愛がると言う。

あ〜さようですか。ツッコミどころ満載ですが、あえて我慢。最初、様子見で静観していたヒロインも、許容範囲を越え、離婚を申し出て裁判となります。後半は裁判劇です。
↓↓↓ご注意、以下、原作思いっきりネタバレ↓↓↓

・夫は裁判に負け。莫大な慰謝料と返済金を負う。屋敷、領地を売り払っても不足し、両親と共に炭鉱奴隷に身を落とさなくてはならない。
・ヒロインから支払金の大幅減額の申し出があるが、その条件は「ラルフとアンジェラの結婚」である。
・ラルフとアンジェラは結婚。両親と執事と5人で下町で暮らし始める。
・アンジェラは浪費癖が抜けず不平ばかり。複数の「男友達」がいる。ある日、書き置きをして家出。
・ヒロインは従兄弟アイザックと結婚。

断罪が苛烈。ヒロインに精神的苦痛を与えましたが慰謝料が高額過ぎ。元夫はヒロインへの贖罪の意味も込め、アンジェラを大事にしていました。アンジェラ以外は下町で職を得て、貧しくとも家族で支え合う穏やかな生活をしています。それは不本意なものでしょうが…幸福とは?考えさせられました。元夫は惨めで苦しい中、真摯な生き方。こうなるとヒロインの幸福の方が薄っぺらく見えます。奥深さを感じました。脱落せず最後まで読んでもらいたい作品です。
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