神堕ち~最底辺の男たち~【電子単行本】
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神堕ち~最底辺の男たち~【電子単行本】

ともち

作者買いです

ネタバレ
2025年10月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ ともち先生の作品はコツコツ作者買いさせて頂いていて、こちらで7作目。オッサンの不憫受けって初めて読んだのですが、すっごく良かったです!不憫受けの新境地を見た感がありました。先に書いておきますが、痛いのが無理な方はお勧めしません。プレイとしての骨折など、SMモノ大丈夫な私でも見ていて辛いシーンがあったので。

受けの朔夜の過去が思った以上に壮絶で、攻めの蒼の境遇とは重ねきれないほどの苦しみを味わってきて、それでも優しさを失わず、この年まで裏社会で折り合いをつけながら生きてきたんだと思うと泣けてきました。朔夜の表情やセリフ等から経験故の慈悲の心が垣間見え、余計に泣けます。自分の人生は諦めていた朔夜ですが、蒼のように売られてくる若者たちを表社会に戻すサポートをすることで、自分を慰めていたのかなと思いました。
組長の煌の登場辺りから雲行きが怪しくなってきて、朔夜が過去の自分との戦いに苦しむターンに突入。ドロドロが極まったところで、蒼に煌が撃たれます。撃たれた瞬間は驚きましたが、蒼の性格から考えれば撃てるはずがないと私でさえ思っていたので、場数を踏んでいる煌が舐めてかかって至近距離で撃たれたことにも納得です。煌からとめどなく流れる血を見て、ようやく朔夜は目を覚ましたというか、過去を清算し蒼と生きる覚悟が決まったんだと思います。
ハピエンのように見えても実は問題は山積みというラストが多い裏社会系の話が多い中、これほどまで大きな不安要素を排除して、2人の新たな人生の幕開けまで持って行って下さったともち先生には感謝しかありません。お陰様で、ラストの朔夜のセリフを心から喜べました。ハピエンまでの道程がハードであることは否めないけれど、その分苦労が報われた幸福感が大きくて、私にとって読んで良かったと思える作品となりました。
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