たまゆらの日日
」のレビュー

たまゆらの日日

波真田かもめ

恋をすっとばした愛

ネタバレ
2025年10月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ しがないライターの充と血の繋がらない甥っ子(弟の結婚相手の連れ子)の泉水のお話。
泉水の母親が亡くなり、充と弟の節・泉水の3人で暮らすようになり、さらに節がなくなって二人で暮らすことになった充と泉水。
育ての親子のような関係だけど、ちょっとだらしない充としっかり者の泉水は家族を亡くした喪失感を埋めて互いに支え合う同志のような関係でもあったのだろう。
心理描写が繊細で、覚悟を決めた泉水の気持ちも戸惑う充の気持ちもすごくわかる。弟の節も登場する場面は多くはないけどその人となりがよくわかり、残された家族の気持ちがひしひしと伝わって泣けました。
守るべき大切な家族であると共に失いたくないずっと一緒にいたい相手・・・恋をすっとばした愛なのだろう。
この平穏な生活が“たまゆら”じゃなくて永遠に続いて欲しいと思いました。
すっごく素敵な作品です。
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